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貯水池や導水路など、水インフラの運用による利用可能な水資源量の変動を考慮

世界の中でも年間降水量が比較的多いアジアモンスーン地域 では、雨をもたらすモンスーンや台風などに季節性があるため雨季に降水が集中し、乾季には雨がほとんど降らない流域も多く存在します。このような流域では、降水の季節変動によらずに水需要を満たすため貯水池や導水路といった水インフラを整備し、利用可能な水資源量を確保しています。すなわち、事業活動に伴う水リスクを評価するためには、自然条件のみだけではなく、水インフラの運用を考慮するとともに、年単位でなく、少なくとも月単位での利用可能な水資源量の変動に関する情報を考慮する必要があります。

Water Security Compassは、世界最先端の全球水資源モデルH08を用いたシミュレーションを元に開発されています。H08は自然の水循環と人間の水利用・水管理の主な要素を、水平空間解像度9km、1日単位で計算・推定可能です。雨季や乾季における水需給の変化はもとより、貯水池や導水路などの水インフラの効果も考慮した水需給の計算が可能です。

水資源や水需要の季節的・経年的な変動を考慮した水需給逼迫リスクを評価

企業の事業活動において操業上のリスクが発生するのは、渇水によって流域の利用可能な水資源量が低下し、水供給が不足するとき等です。Water Security Compass は、水資源量や水需要量の季節的・経年的な変動を考慮して水需給逼迫リスクを評価する新しい指標(Cumulative Deficit to Demand やDeficit to Demand 等)を採用しています。これらの指標は渇水の発生頻度や規模を考慮した事業活動への影響評価等にも活用できます。この他にも、水資源量と水需要量の平均的なバランスを評価する伝統的な指標(Baseline Water StressやSDGs indicator 6.4.2等)も網羅しています。

ライフサイクルアセスメントの国際専門家チームが作ったAWARE指標も掲載

事業活動が流域の淡水資源に与える影響の評価には、サイトの水消費量が淡水資源に及ぼす負荷の定量的な把握が重要です。仮に2つの異なる流域にあるサイトそれぞれで同じ量の水を消費しても、利用可能な水資源の絶対量が多い流域と少ない流域とでは、淡水資源に与える負荷は異なります。Water Security Compass は、人間活動と生態系による水利用の結果、流域に残る水資源の絶対量を0(水不足は軽微)から100(水不足は深刻)までの値で点数化した Available WAter Remaining (AWARE) を指標として採用しています。AWAREの値と水消費量を乗じることで、企業はサイトの水消費量が流域の淡水資源や生態系に与える負荷を客観的、定量的に評価することができます。同じ水消費量でも、AWARE指標が大きい地域ほど地域に与える負荷が大きいと判断されます。